2-201 「100人の村」を活用する①

「世界がもし100人の村だったら」は,アメリカの環境科学者Meadows, Donella氏が1990年に書いた「State of the Village Report」という短文が,2001年前後から,インターネット上でチェーンメールのように広がりつつ,内容を変質させて誕生した短文である。日本でもその翻訳本が出版されたり,その後それに示唆を受けたドキュメンタリー番組が放映されるなど,非常に大きな反響があった。統計を武器に,富の偏在を示していくこの文章は,地理教材としても大変有用性が高いものと考える。
しかしながら,「チェーンメールとして広がっていくうちに,統計が古くなったり,不確かな数値が使われるようになって」という誕生の経緯を考えると,高校地理への授業への活用にあたっては,注意が必要である。たとえばNPOのオアシスが公式サイトで,無償ダウンロードのサービスを提供する「動画で見る100人の村」のフラッシュ動画は,大変よくできている。私もいつか授業で生徒に見せたいと考えている。しかし,このもとになっている短文は,このメールを最初に訳したといわれる中野裕弓氏が日本語訳したものである。統計は新旧のもの,正誤が入り混じったものになっている。生徒にみせるには,統計を修正し使う必要がある。
実は「The Global Village」という英文サイトには,2001年に「Rekha Balu, Christine Engelken & Jennifer Grosso」らが客観的な統計データによって修正を行ったものが掲載されている。
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NPOオアシス「動画で見る100人の村」のフラッシュ動画のダウンロード
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