2-49 Worldmapperのカルトグラムを利用した各国比較資料の作成

統計地図の中でも,自分で作成するのが難しい図の中にカルトグラムがある。統計数値の大きさを国・自治体などなんらかの行政単位の面積に反映させ,本来の地図を変形させた地図のことである。私がこのカルトグラムに出会ったのは,今から25年ほど前,高校3年の頃だったたが,エドウィン=O=ライシャワーの『ザ・ジャパニーズ』の巻頭にのっていた「GNPの大きさを反映したカルトグラム式の世界地図」は大変衝撃的だった。ぱっと見ただけで「日本は経済大国になったんだなあ」と端的に教えてくれる斬新な地図だと思った。おそらく,現在でもカルトグラムは,様々なレベルで,統計数値の大きさを比較して地域性をあぶりだしていくときに非常に有効な道具であると思う。ただ残念ながら,現状ではそれを作成するためのフリーソフトはなく,個人で作成するときにも,骨のおれる作業のようである。
ところが最近,そうしたカルトグラムについて,600弱もの地図を掲載しているHPがあることを知った。「Worldmapper」というHp
である(http://www.worldmapper.org/index.html)。アメリカ合衆国のシェフィールド大学のSASIグループと,ミシガン大学のMark=Newmanらによって運営されている英文のHPである。
このHPの卓越している点は,図のカテゴリが豊富な点である。つまり,Basic(基本統計)・Movement(国際的な人口移動)・Transport(交通)・Food(食料)・Goods(資源の輸出入)・Manufacturers(工業製品の輸出入)・Services(サービスの輸出入)・Resources(地下水・森林)・Fuel (電力・エネルギー資源)・Production(生産者)・Work(労働・雇用)・Income(所得)・Wealth(富の大きさ)・Poverty(貧困)・Housing(住居)・Education(教育)・Health(健康)・Disease(病気)・Disaster(災害)・Death(死)・Destruction(生物種の危機)・Violence(戦争・紛争)・Pollution(環境汚染)・Depletion(資源の枯渇)・Communication(通信)・Exploitation(南北問題)・Action(国際的な動き)・Cause of Death(死亡原因)・Age of Death(死亡年齢)・Religion(宗教)・Language(言語)・Sport/Leisure(スポーツ・レクリエーション) といったカテゴリーがある。
ファイルは,PNG形式と,ポスター形式のpdfファイルでダウンロードできるが,とくにpng形式のファイルは,WORDなどワープロ文書,Photo ShopやIllustratorなどで加工できる。つまりほぼjpgファイルと同様の利用が可能である。またpdf形式のファイルも,llustratorで読み込むと,地図部分だけの抽出が可能な状態となる。
ここのページに掲載されているのはpdf形式のファイルであるが,こうしたカルトグラムを複数組み合わせるだけでも,特定の国の地域性をあぶりだす教材が容易に作成できる。
Worldmapper
AdobePhotoshop
Adobe Illustrator CS3
■ 地球の公転距離