2-37 カラーのピクチャー形式のグラフを修正する

以前,紹介した政府統計の総合窓口(e-stat)などはただ単に国内統計のポータルサイト,世界の主要統計の検索にも使えるだけでなく,国内の主要指標に基づくグラフをgif形式で入手するサイトとしても利用できる。このグラフなどは基本的なグラフも多いので有用性も高い。ただこのグラフに使われているようなgif形式は,jpg形式やbmp形式の画像と同様,ピクチャー形式である。したがってその修正作業はPhoto Shopなどによる修正には限界がある。つまりカラーのグラフを,モノクロ印刷に耐えられるようにとPhoto Shopなどでグレースケールのモードに修正しても,せっかくカラーモードで明確なコントラストが示されていたグラフが,コントラストがはっきりしないグラフに成り下がってしまうことがよくある。それではどうするのか。自分で教材や地域研究の素材として使えると思いせっかく入手した素材を捨ててしまうのか。
しかしこれもIllustratorの最新バージョンであるCS3などに標準装備されているライブトレース機能を活用すれば,十分修正は可能である。つまりjpg,bmp,gif形式などラスタライズされた画像ファイルを修正する場合は,まずそれをIllustratorCS3で読み込む。そしてその図を,トレースオプションの詳細な設定をした上で「ライブトレース」を行うのである。つまりトレースオプションで,カラーモードを「グレースケール」として,さらに「誤差の許容範囲」「最小範囲」「コーナー角度」などの値をなるべく小さな値に調整し,「トレース」ボタンを押す。そしてその後,メニュー上の「拡張」ボタンを押し,トレースとグレースケールへのモードの変更を確定する。あとは,細かな点の微修正である。つまりグラフのテキスト部分をすべてIllustratorの画面上であらためて打ち直し,トレースによってゆがみがでてしまった文字はすべて消去する。またもともとカラー表示されていたパターンは,「スウォッチパターン素材のイラレ屋」などから入手したドットや斜線などのパターンに置き換えて,製図しなおす。この作業は大変面倒な作業のようにみえるが,図をプリントアウトする場合,Webから直接入手したグラフでは文字にぼかしがはいっているようにみえたり,また肝心のパターンが読み込めなくないことがあるので,図を本来の「統計データの可視化の手立て」と考えれば,理にかなっている。著作権の問題で教育目的の二次加工はどこまで許されるのかといった問題もあるが,その点が心配な場合は,全面的にトレースして作成しなおせばよい。昔,ロットリングペンで製図していた頃を考えれば,それもたいした労力ではない。
政府統計の総合窓口e-stat「図表で見る日本の主要指標」
Adobe Illustrator CS3
illustratorパターンスウォッチ素材のイラレ屋
■ 地球の公転距離