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地理屋にできること

●地理屋にできること



 私は10年以上前,井上ひさしの『四千万歩の男』によって,はじめて伊能忠敬という人物の仕事を知った。彼は19世紀はじめに日本を実測して初めて日本地図を作った人物である。いわば地理屋の先達である。私は,彼の地図製作の目的が,地球の子午線1度分の長さを求めることだったことや,彼が50歳を過ぎたところでその大事業をはじめたこと,毎日,一歩一歩、歩測で測量を付けていったことを小説を読んで始めて知り,大変感動した。そして彼が生活していた千葉県の佐原にどうしてもいきたくなり,一人で佐原に出かけた。
 思えば今の地理屋は,手軽にグーグルアースや、GISソフトによって体裁の整った地図が作れてしまうので,かえって地図というものを雑にこなしてしまう危険が高いと思う。しかし忠敬のように地図つくりは全身全霊を傾けなくては,何かをうったえる地図は生まれない。我々地理屋はそのことを肝に銘じなくてはいけない。
 少し前まで地理屋といえば,ロットリングペンでトレース紙の上をなぞり土地利用図や等高線地図を作っていた。しかし現在では,情報の電子化が進展する中,カシミールや,MANDARAや,Web-Gisなど汎用性のあるGISソフトが普及し,かならずしも地理屋でなくても「気の利いたマップ」は作れる時代に入った。そうした中で,GISで作成した荒削りのマップをそのまま使う地理屋もでてきている。
 もちろんGISといった新規のツールを効果的に使っていくことも重要である。しかし私は,独自の地理屋の観点によって作られる「主題図」は地理屋によってしか作れないものだと信じている。われわれ地理屋は,これまでも,またこれからも,これまでと同じように,独自の視点をもち,プロ意識をもって独自の主題図をつくらなければいけないものだと思う。一般の人にでもつくれる図をつくっていたりのでは一般人とかわらず,「地理」という学問はそのうち世の中から消えてしまうだろう。
 もちろんGISはわれわれ地理屋にとって大きな支えになってくれる重要な道具である。しかしそれだけでは,われわれ地理屋のイマジネーションを超える「主題図の作成」はつくれないと思う。地理屋でなければできない主題図を作成すること,それが今のわれわれ地理屋のできることだと思う。
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Author:Tanaka Takashi
群馬県立桐生女子高校で地理屋をしている田中隆志です。ここは地理と地図の好きな人たちのための情報提供の場です。

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