■2007年アメリカ合衆国の農業地域考察コンテンツ
2007年の国勢調査結果(National Atlas Data)に基づき,アメリカ合衆国の農業地域を考察するためのコンテンツをつくりました。牛の飼育地域を示したもの以外の作物栽培地域については,各郡ごとの収穫面積を色分け地図で示してあります。ドットマップや図形表現図でのWeb地図化が現時点では困難であるため,「絶対値を示す統計地図」としては掟破りのコロプレス表現となっています。「色分け地図」として認識していただければと思います。
※地図上のポイントを拡大していくと,冬小麦地帯はカンザス州のセンターピボット,等高線耕作の圃場,春小 麦地帯はホームステッド法のなごりを残す圃場,テキサス州(グレートプレーンズ)の肉牛飼育地帯ではフィードロットが見られます。
■2007年アメリカ合衆国の人種分布考察コンテンツ
2007年の国勢調査結果に基づき,郡ごとの人種別人口割合を表示できるようにしています。
■1999年ケニアの人口,農村,貧困,自然災害の相関
世界資源研究所(https://www.wri.org/resources/data-sets/kenya-gis-data#population)などにより作成したインタラクティブ地図です。データが古いですが,ケニア国内の水事情,自然災害リスク,人口分布,農業地域(作物栽培地域と家畜放牧地域)との相関を考察できるようにつくりました。南部(首都ナイロビなど都市が集中)に人口集積が進んでいること。北部は一次的河川しかなく放牧地域主体,南部は恒常的河川が流れ作物栽培地域主体になっていることが分かります。また放牧地域と作物栽培地域がかなっている所があり,自然災害に対して脆弱な地域であることも確認できます。さらに遊牧地域を中心に貧困住宅割合が高いことがわかります。
■2009年ナイロビの都市問題を考察する
ケニアは国レベルでみると,農村よりも都市の方が明らかに「豊か」な傾向です。しかし他の発展途上国もそうであるのと同様に,貧しいの農村から豊かさを求めての都市への過度な人口集中もあり,全ての人間が豊かさを享受しているわけではありません。結果的にその都市についてさらに丁寧にみると,その中には矛盾をかかえた地区もあります。このコンテンツはその地区を見つけ出すためのコンテンツです。
まず背景図のOSMマップ以外,コンテンツのチェックをすべてはずしましょう。ナイロビの輪郭と,CBDの大よその広がりというところにチェックをいれてください。OSMで道路・鉄道の路線が集中しているところがCBDになっていることがわかります。
続いて,CBDの大よその広がりのチェックをはずし,地区境界-名称,人口ドット(1ドット=1000人),保護区のチェックを入れます。すると人口は,CBD以上にその隣接地区に集積していることや,とくに南部のlanga'ta地区の大半は保護区(自然保護区のようなもの)になっていることがわかります。さらにそのlanga'ta地区と,同じ南部のembakashieastには大きな空港が立地していることもわかります。これらのことが読み取れたら,チェックをはずします。
続いて,ナイロビの輪郭と,CBDの大よその広がりというところに改めてチェックをいれてください。今度は,インフォーマルセクターの人口割合,6-13歳の学校の出席率,貧困率,安全でない水のアクセス率の地図を交互に表示せながら,それぞれの分布の特徴を読み取ります。インフォーマルセクターの人口割合は「CBD」よりもその周辺の東西の地区の方が高率です。CBDの隣接地区に集中している人口は,雇用機会が不足していることが分かります。6-13歳の学校の出席率については,理由が不明ですが「CBD」とその隣接地区が低率です。CBDの教育事情になにか問題がありそうです。また貧困率は,CBDの周辺で人口集積がみられる,西のkibera地区と,東のmathare地区,ruaraka地区が非常に高率になっています。実はこのあたりはスラムが形成されている所として知られる場所で,とくに西のkiberaは東アフリカ最大のスラムとして知られています。CBDの発展の影がその隣接地区でみられるとの実態が確認できます。最後,安全でない水のアクセス率についてみると,CBDの付近も中位で問題はあるものの,とくに保護地区や空港などが集中するlanga'ta地区など南部が高率であることがわかる。おそらく南部は未開発地域で水道などのインフラ整備が遅れているために,南部の水事情がよくないのだと考えられます。
総じていえば,農村との比較では都市のほうが豊かであるが,都市についてよりミクロスケールで考察すると,様々な問題があることがこのコンテンツを通じて確認できると思います。
なおこのコンテンツの作成については,行政界はOCHA(国連人道問題調整事務所)サービスのHDXから入手しました。また基本統計データは,から,ベルン大学の開発環境センター(CDE)が作成してるケニアアトラスというインタラクティブマップから直接データを拾って利用しました。またケニアの保護地域データについては,Protected Planetのデータを利用しました。
また上記のベルン大学の開発環境センター(CDE)が作成してるケニアアトラスというインタラクティブマップ(WebGIS)などを使った,「都市問題」の授業の進め方のアイデアについては,本サイトの⑭WebGISで都市問題の授業実践にも掲載しています。所属校でPC教室で実際に授業で実施した流れをまとめたものです。合わせてご覧いただければと思います。